※今回ちょっとアレなのでご注意ください(アレって何だよ)


living on the edge



17.


 その夜の高岡は、優しくなかった。
 今まで優しかったのか、というツッコミはおいとくとして、その日の奴はとことん俺をいたぶってやろうという方針だったに違いない。
 少々勝手な口をきく自由はあっても、所詮俺は奴の囚人なんだと思い知らせるように。

 晩飯を食ってから部屋に戻されてしばらく放置されたから、その日はもうしないのかとなんとなく期待していた。
 正直、なんにもしてないのに精神的に疲れる一日だったし、その上にわけがわからなくなるセックスを上乗せされたくなかった。無論、疲れてなくたってしたくはなかったけど。
 新たに設置されたミニサイズの目覚まし時計で11時を過ぎたころ、高岡はやってきた。
「毎日元気だな」
 なんとなく、ヤル気だってわかったからそう言うと、
「心外だな。早く馴染んでもらおうと努力してるんじゃないか」
 まるで良いことでもしてるかのような口調で言いやがった。
「脱いで」
 手錠をはずし、鍵と一緒にポケットにつっこむと、高岡は軽く俺に指図した。もう湿布は張ってなかったし、これからバスルームへ連行されるにしても、なんでここで脱ぐんだと高岡の顔をうかがうと、にやりと嫌な笑みが返る。
「さすがに、素っ裸で逃げようとは思わないだろ?」
「ほんとあんた、性格悪いよな」
 なんとなくごねるのも面倒で、言われるままに全部脱いだのはいいけれど、「行くぞ」と高岡に腕を引っ張られてはじめてその居心地の悪さに気づいた。
 イヤ普通、廊下とか素っ裸で歩かないよな。
 風呂上りとかならともかく。高岡はちゃんと服着てるしさ。
 そんな今更なことに気を取られていた俺は、バスルームに放り込まれたとき、状況がおかしいのに気づかなかった。それまで3日続けて有無を言わせず丸洗いされてたから、そうされるだけだと思い込んでいたのもある。
 高岡は服を脱がないまま、素っ裸の俺と一緒にバスルームへ入ってきたし、そのバスルームの中には、怪しげなブツがいくつか設置されていた。



「ちょっ、何すんだよ!」
 ひょいと手を取られたと思うと、かしゃんと聞きなれた音が響いて、俺はあせって声を上げた。なんでここで後ろ手に拘束されるのか、意味は分からなかったが悪い予感しかしない。
「痛い目に遭いたくなければおとなしくしてろ」
「できるか! 何だよそれ!」
 抵抗はしたんだけれども、あっさりバスルームの床に押しつけられてしまったのは俺が非力なせいじゃない。奴はなんか、体術というか、寝技というか、そういうのの心得があるんだろう。でなきゃ情けなさすぎるというか哀しすぎるというか。
 正座して頭を下げた格好で座らされて、上から押さえて尻を少し上げさせられた。
 俺を逃がさないように抑えつつ、シャワーを出して湯の温度を調整していた器用な男が、そのシャワーを後ろにあててくる。
「ん、な、何も、手錠かけてやることじゃねーだろ!」
 男の指がそこに触れて、俺の声は裏返りかけた。
 そうだ、洗うだけならいつも……ってまだ4回目だけど……してるじゃないか。最初におとなしく丸洗いを許してしまったせいか、なんとなく抵抗も出来なくて、いや抵抗はしたっていえばしたんだけども……いやそんなことはどうだっていい。
 問題は、男が持ち出したものだ。
「そろそろ、躾けてみるのもいいかと思ってね。まあ、いくらアナルセックスだからって、ここまですることはないんだがね」
「ねーよ、当たり前だろ! ってかシツケ!?」
 男が器用に俺を押さえ込んだままで、怪しげな物体をあそこへあてがった。
 それは、あれだ。普通に普段の生活で見せられたら何か分からなかったかもしれないけれど、その状況下で見たら何となく意図が理解できたというか。要するに、あれだよ、あれ。見た目は、でかい注射器のように見えたんだけど。あれだ。
「いい子にしてろ」
「ムリっ、だ……あっ……」
 指より細いものが押し込まれ、ゆるりと、少し生暖かく感じる液体が注ぎ込まれる。数日で開発された部分は、その感覚をあっさり快感と認めて、俺に切ない息を吐かせた。もっとも、すぐに別の感覚で余裕をなくすはめになったわけだけど。
 液体を注ぎ終わって器具の先端を抜かれたときには、トイレ!って単語だけが俺の頭を占めてて、ガラス戸でバスルームから丸見えのトイレに、俺の目は釘付けだった。
「暴れるなよ。漏れるだろ」
「ってめえ、この変態! あとでぜったい、殴ってやる!」
「わかったから、ちゃんと締めてろよ」
 俺の抵抗も罵倒も気にもかけずに、男は俺を抱え上げて、トイレへと搬送した。そのまま便器の上に下ろされて、それで安心しかけたんだけど。
「出していいぞ」
 と、目の前に立っている人に言われて、一瞬何のことやらわからずに固まってしまった。
「な、なんで……出てけよ……」
 便器の上で、さっきよりなお余裕はなくなってて、声を荒げるのも辛い状態だってのに。男は少し屈んで俺に視線を合わせると、にやりと嫌ぁな笑みを浮かべた。
「我慢するのも辛いだろう。構うなよ、出したもの見るわけじゃなし」
「普通構うだろっ」
 男の手が、張ってる感じのする腹をするりと撫でおろす。もう片方の腕を背中に回して、手錠に拘束された俺の手をなぐさめるみたいに撫でながら、男は俺の耳元へささやいた。
「出すときの顔を見といてやるから」
「!!!!!」
 何つうかもう、いろんな罵倒語が頭の中を飛び交って、でも呆れて言葉も出ないっていうか言葉を発してる余裕がないというか、いろいろ限界で、俺は頭を振っていやいやしながら、全部あきらめた。
 何言ったって、こいつが譲るわけない。


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