living on the edge



7.


 風呂へ連れ込まれるのに、抵抗はしなかった。
 俺はすでに素っ裸だったし、一度吐き出したら、もうどうにでもなれって気分になったから。
 やはり、あの部屋とは別にバスルームがあって、そちらがメインのようだった。放り込まれたそこには、大人二人で仲良く浸かれそうな程度には広い、白いバスタブと、同じく十分に広い洗い場があって、ガラス戸で手前のトイレが丸見えだった。これじゃ、誰かが風呂に入ってたらトイレ行けないじゃん、とどうでもいいことを思う。
 手早く服を脱いで入ってきた高岡の身体を、俺はまじまじと見た。
「いーなぁ。あんた、ほんとに日本人かよ」
「一応、生粋の日本人のはずだがね」
「マジぃ?」
 分厚い胸板は、日本人離れした骨格のおかげでもあるんだろうけど、やはりついている筋肉の厚さも結構なものだと思う。服を着ていたときにはわからなかった、しっかりした筋肉をまとった堂々たる体格に、俺は本気でむなしくなって嘆息した。
「ずるいって、絶対」
「そうか? ま、確かにおまえは細いよな」
 引き寄せられて、腕の太さを確かめるように握られた。
「筋肉がつきにくい?」
「んー、たぶん」
「まあ、これぐらいのほうが好みだけどな、もうちょっと太ってもいいんじゃないか。50キロあんのか」
「失礼な、それぐらいあるって」
 シャワーをかけられて、それからスポンジで丁寧に洗われながら、そんな会話をしていた。
 それぐらい自分でやる、と主張だけはしたんだけど、あっさり却下された。手錠もまだ取ってもらえなくて、俺は高岡のなすがままだった。
 股間に手を出されても。
「あ、そんなとこ……!」
「なんだ、今さら恥ずかしがることないだろ」
「あのな、ん、恥ずかしがってんじゃねえ、嫌がってんだ!」
 さっきまでちゃんとスポンジで洗っていたくせに、泡を手にとって直接俺自身に触れ、茂みで泡を泡立てたり、袋にするりと指を這わせたりしてくる。
 俺は、どうやったらこの変態に一矢酬いることができるんだろう、と考えながら、高岡を睨んでいた。
「あ、ちょっ、と、待て!」
 遊んでいた指が、さらに奥へ伸びて、後ろへ触れると、さすがにぞくっとした。
「わかってるだろ。ちゃんと綺麗にしないとな」
「わ、わか……いや、わかる、けど、やっ、やだって!」
 たっぷりと泡をまとったぬめりのいい指が、ゆるりとまわりを撫で、ノックするようにとんとんと後孔を叩く。
「力抜いて。大丈夫だ。指の一本くらい、簡単に入るから」
「そ、ぅいう問題じゃねえ……んぁっ」
 入れられた。
 俺は慌てて逃げようと腰を浮かせたけれど、高岡は俺を抱きとめて、そのまま指を奥まで挿入してきた。
「やっ、抜けよ! なあ!」
 突き放そうにも、正直、指を入れられた穴がもぞもぞしてそれどころじゃなかった。指はゆっくりと抜き差しされて、その合間にほかの指が入り口のあたりをなぞるようにくすぐったりしてきて。
 そして、男の指が狙いすましたかのように、あの場所に触れてくると、もう俺に抵抗する余地なんて残されていなかった。
「ぁっ、な、なに……あ、あ、やめ……」
 内部をゆるやかに押し上げられて、勝手に身体が震えた。身体の中からつつかれてるだけなのに、外にぶらさげてる俺自身が熱くなって、軽くイッてるみたいな。変な感じだ。
 高岡の顔を見上げると、彼は艶めいた笑みをみせた。
「効くだろ。前立腺」
「や、め、ろ、今すぐ………いやぁっ」
「やめろと言われてやめると思うか?」
 睨み上げると、ぐちゃぐちゃに指を動かされて、勝手に声がもれた。
 高岡はそ知らぬ顔で、置いてあった何かのボトルを取って、俺に突っ込んでるほうの手に中身をかけていた。
 そして、すぐに2本目の指が押し入れられる。
 1本目とは明らかに違う圧迫感。
「やめろ、嫌だ……やめろ……やっ、やだ……」
 俺はただ首を振っていた。
 男の指は何の容赦もなく、何度もあそこを刺激しながら穴の中を行き来する。
 その指の動きにあわせるように、何度も「嫌だ」「やめろ」を繰り返していたら、いつのまにか唇で声をふさがれていた。
 口内を犯されながら、後ろの穴も犯されて、抵抗の意欲を失った俺は、ただ男の暴虐に身をゆだねた。
 もう、半分訳がわからなくなってきていたと思う。
「イキたいか?」
 また、さっきと同じように訊ねられたとき、俺は床に仰向けに転がった格好で男の指を3本も受け入れていた。俺自身は、まるで触れられていないというのに、すっかり勃ちあがって腹の上で揺れていた。
 苦しくないと言ったら嘘になるけど、もはやそれがあまり気にならないくらい、腹からダイレクトに股間を刺激する衝動に、俺はおかしくなりかけていて。
 それでも無視を決め込んだ。
 同意するのは、屈辱的すぎる。
 高岡は苦笑して、ちゅっととキスをしてきた。
 それから、あいているほうの手で俺自身をとり、両方の手を同じタイミングで動かし始めた。
「あっ、はっ、あぁっ、あっ、あっ……」
 俺は我慢できなくて目をぎゅっと閉じた。
 絶頂はそこまで来ていて、自然と腹筋に力が入り、それが体内の指をありありと感じさせる。
 突き上げ、こすりあげるリズムに、勝手に腰が揺れる。
「いや、あ、イク……もぅ、ああ……」
 うわ言まじりの喘ぎ声をあげながら、俺の身体はぴくぴくと跳ね、そして達した。
 世界がブラックアウトした。


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